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2007/01/17

DAKAR:三菱チーム 第9レグニュース(1/15)

Mb_0115第9レグ
1月15日(月)
ティシット~ネマ(モーリタニア)
リエゾン 0km SS9 494km リエゾン 3km
総走行距離 497km

「チーム・レプソル三菱ラリーアート」総合首位を奪取
ペテランセル、アルファンが待望の1-2体制を築く
増岡も好走を見せて総合5位まで挽回、VWチームは受難の一日に

2007年ダカールラリー(正式名称:ユーロミルホー・ダカール2007)は1月15日(月)に第9レグを開催し、モーリタニアのティシットからネマまで497km、SS(競技区間)494kmを走行。
前日まで総合首位を走っていたジニール・ドゥビリエ(南アフリカ/VWレーストゥアレグ2)がエンジントラブルに見舞われてラリーリーダーの座から陥落し、SS3位でフィニッシュしたステファン・ペテランセル(フランス/三菱パジェロエボリューション)が合計タイム33時間43分23秒で逆転、総合首位に浮上した。
さらにSS2位のタイムをマークしたリュック・アルファン(フランス/三菱パジェロエボリューション)もポジションを前日からひとつ上げて総合2位となり、「チーム・レプソル三菱ラリーアート」が一気に1-2体制を確立した。

また、前日は今大会2度目のクラッチトラブルを抱えて総合8位へと後退した増岡浩(三菱パジェロエボリューション)は、2本のパンクを喫しながらもSS4位のタイムで走り切る好走を見せて、3つ順位を上げて総合5位まで挽回してきた。
なお、このSS9で今大会2度目のトップタイムを叩き出したのはオリジナルの2輪駆動バギーで出場しているジャン-ルイ・シュレッサー(フランス/シュレッサー・フォード)で、SSタイムは5時間32分03秒であった。

29回目の開催を迎えたダカールラリーは、モーリタニア砂漠の大砂丘群を抜ける最後のステージで大きく動いた。
第7レグで総合首位に立ち、前日の第8レグでもそのポジションを守ったドゥビリエを、痛恨のエンジントラブルが直撃したのだ。
前回大会で三菱自動車チームのアルファンに僅差で敗れ、その雪辱を狙っていた34歳の南アフリカ人ドライバーだったが、彼の駆る『VWレーストゥアレグ2』はSS9前半の129kmで失速。
バルブ駆動系の破損によってエンジンオイルが吹き出し、それが高温のエンジンに触れて出火した。
火は車載消火器によってすぐに消し止められたが、自力での走行継続はかなわず。
砂漠のど真ん中でチームのサポートトラックの到着を待つ以外になくなったドゥビリエの手から、つかみかけていた栄冠が柔らかな砂のようにこぼれ落ちていった。

VW陣営はこの他にも重大なトラブルに見舞われ、前日はパワーステアリングの破損により総合4位へと後退していたカルロス・サインツ(スペイン)が、今度は電気系トラブルに襲われて後半の325km地点でストップ。
チームメイトのマーク・ミラー(アメリカ)やカルロス・スーザ(ポルトガル)が次々に停車して手を差し伸べたものの再スタートさせることができず、ここまで好走を見せてきた元WRCチャンピオンもまたサポートトラックの救援を待つことに。
大会初日から中盤までトップ3を独占し続け、ダカールラリー5年目の挑戦でついに総合優勝を手元にたぐり寄せつつあったVWチームの野望は、ここで実質的に砕け散った。


三菱自動車チームの最大のライバルであったVW勢が次々と崩れ落ちていった魔のモーリタニア砂漠。
ましてこの第9レグは、前夜のティシットでのビバークではメカニックによるサービスが実施されていないマラソンステージの2日目。
前日に今大会最長589kmのステージをこなした競技車両は、車載してきた工具とスペアパーツだけによるクルー自らの簡易的な整備だけで、再び500km近くのロングステージに臨んでいた。
過酷であることは、どのエントラントにとっても同じ。
実際、三菱自動車チーム勢も決して容易に第9レグを戦ったわけではなかった。
しかし結果的には、モーリタニア砂漠での事実上の最終日は、王者・三菱自動車の強さを改めて際立たせることとなった。

前日、総合2位まで浮上してきたペテランセルは、トップとの差を一気に詰めるべく、このSS9でマキシマムアタックに出ていた。
ところが、そこへ彼にとっては今大会2度目となるクラッチトラブルが発生。
不測の事態に備え、通常はエンジンとギヤボックスの間に置くクラッチをギヤボックスの外側に備えた『パジェロエボリューション』のアドバンテージを生かして、ペテランセルとコ・ドライバーのジャン-ポール・コトレ(フランス)はわずか15分という驚異的な短時間でクラッチアッセンブリーを交換し、再スタートを果たした。
その後、ステージの終盤でパンクを喫してタイヤ交換を強いられもしたが、それでもSSトップから4分強の遅れにとどめてフィニッシュ。
トラブルなく走れていればどれだけのタイムを出したか知れないが、いずれにせよライバルの自滅により、ついに総合トップの座に立つこととなった。
「ドゥビリエがステージ途中で止まっていて、しかもマシンが燃え始めていたのを見たときは、ちょっと信じられない気持ちでした。
彼はここまで実に見事な戦いを演じてきましたから……」と、逆転首位を奪った砂漠の申し子は、ライバルに同情の念を示した。
「彼が止まったことで、我々が有利な状況に立ったことはもちろん理解しました。
しかし、我々もまたトラブルに直面し、決して楽にステージを乗り切ってきたわけではありません。
それに、ラリーはこの先もまだまだ難しいステージが控えていますからね」とペテランセル。2年ぶり・3度目のダカールラリー4輪部門制覇に向けて、改めて気を引き締めていた。

一方、総合3位で第9レグをスタートしたアルファンは、久々にパンクもトラブルもないステージを戦った。
「ようやく自分の運気も上がってきたようです。
私のペースそのものは決して速くはありませんでしたが、それでもSS2位でフィニッシュでき、総合順位も上がった。
思いがけずいい一日になりました」とコメント。
チームメイトであり最高のライバルでもあるペテランセルとの一騎打ちとなった残る後半戦でのクリーンファイトを誓っていた。

また、総合9位でスタートした増岡も、この第9レグでは大いに気を吐いた。
前日はクラッチトラブルと計4本のパンクに見舞われ、3度目の総合優勝が非現実的なものとなってしまった彼だが、その鬱憤を振り払うかのようなアタックを見せた。
残念だったのは、またも2本のパンクを喫してそれぞれタイヤ交換を余儀なくされたこと。
それ以外にもパンクの可能性があったためにチェックを行った予定外の停車もあり、結果的にはふたりの僚友に次ぐSS4位。
しかし、自らのドライビングにはさらに自信を深めることができたようだ。
「すべて順調に行ってくれていれば、トップタイムを取れたステージでしたね」と増岡は言う。
「終わってみればSS4位でしたが、3度止まった時間がそのままSSトップとの差になって出た、というかんじです。
その点は悔しいですけれど、基本的にはドライビングもナビゲーションもよかったと思いますし、新型『パジェロエボリューション』も高いパフォーマンスを安定して発揮し続けてくれました。
この先もきっちり走っていきたいと思います」と語った。
なお、VW2台の脱落を受けたSS9終了時の暫定結果では、総合3位にはネッサー・アルアティヤ(カタール/BMW X3)が立ったが、その後39分のペナルティが加算されて総合4位に後退。
代わって総合3位にはシュレッサーが立った。
増岡との差は約50分であり、今大会で20回目のダカールラリー出場を数えた日本のエースの経験と実力をもってすれば、宿敵シュレッサーを追い落とし、三菱自動車チームによる1-2-3フィニッシュを実現させることも決して不可能ではない。

また、第7レグでの転倒で大幅に順位を下げたことにより、チームメイト3台のクイックアシスタンス役を務めながら後半戦を戦っているホアン・ナニ・ロマ(スペイン)は、前日はクラッチトラブルやエンジンの不調を抱え込んだものの、第9レグでは復調。
SS5位でのフィニッシュを果たし、このSS9では4台の『パジェロエボリューション』がSS2位から5位までを占める結果となった。

三菱自動車チームがついにトップ2を占めることとなった第9レグを終えて、三菱自動車のモータースポーツ統括会社MMSPの鳥居勲社長は、うれしさをにじませながらも、兜の緒を締め直す。
「ここまで素晴らしい戦いを我々と演じてきたVWチームには気の毒なことになりました。
しかし、この厳しさこそダカールラリーの真骨頂であり、我々三菱自動車チームが挑戦を続けてきた理由でもあります。
一昨日の休息日に行ったチームのミーティングでは、『これからの後半戦も自信を持って戦ってほしい』と話しました。
ここまで、トラブルのなかった者は誰もいません。
トラブルを最小限に抑えた者が、上位に踏みとどまっているのです。
明日は昨年末になって急遽変更されたコースで、ここを知り尽くした者はいないはずです。
休息日明けの3日間が山場となると読んでいましたが、まさにそうなりつつあります。
ライバルに起きたことは、我々にも起こり得るものであり、万全を期して明日以降に臨みたいと思います」

2日間にわたるマラソンステージを乗り切ったエントラントは、2日ぶりにチームスタッフとネマのビバークで合流。
マシンはようやく本職のメカニックの手による整備を受けた。
そして大会11日目の1月16日(火)に迎える第10レグでは、ネマのビバークがスタート/ゴール地点を兼ねる今大会唯一のループステージが行われる。
当初はマリのトンブクトゥを目指しながら総走行距離615km(うち、SS516km)で実施される予定だったが、マリ国内の治安状況の悪化を受けて大会主催者であるASOが昨年のクリスマス前にルートを変更したものだ。
結果、366kmとなったSS10は、ネマ東部の砂地を舞台とし、切り立った砂丘は姿を消すものの、依然として深くタイヤを沈み込ませる柔らかな砂が競技車両を苦しめるものと見込まれている。

■三菱車プライベーター勢、マラソンステージ2日目は快調に走行
「ティボー・チーム/ラリーアート」から『パジェロ』で出場していた池町佳生選手が前日の第8レグで痛恨のリタイア。
明けてマラソンステージ2日目を迎えた第9レグだが、三菱車プライベーター勢にとっては概ね順調な一日となった。
「チーム三菱ラリーアート・チャイナ」のリュー・ビン(中国/パジェロ)は、1本のパンクと4度のスタックに見舞われたものの、ダカールラリー初出場らしからぬしたたかな走りを続けてSS38位でフィニッシュ。
前日から6つポジションを上げ、総合52位まで再浮上してきた。
『レーシングトライトンエボリューション』を駆る「チーム三菱ラリーアート・タイランド」のマナ・ポーンシリチャン(タイ)は、前日ステアリングギヤボックスからのオイル漏れが直前に発見されてSSスタートが大幅に遅れる不運に見舞われたが、第9レグではパンクもスタックも一切なく切り抜けてSS31位に。
総合成績では一気に16台をかわし、総合70位まで挽回した。
なお、三菱車プライベーターのトップは、SS25位と安定した速さを見せ続けているドミニク・ウズィオ(フランス/パジェロ)で総合20位。
同2番手は、この第9レグでSS19位のタイムを叩き出してみせたレオニド・ノビトスキー(ロシア/レーシングトライトンエボリューション)で、前日から3つ順位を上げて総合24位につけている。

■サポートカー『デリカD:5』も着実にマラソン移動をこなす
今大会唯一のマラソンステージとして設定された第8レグ~第9レグ。
その間のティシットのビバークにはサービススタッフは立ち入れないため、今春発売予定のワンボックスタイプのミニバン、新型『デリカD:5』をはじめとする「チーム・レプソル三菱ラリーアート」の各サポートカーは、ティシットからさらに内陸へ進んだネマへと直行した。
MMSPの鳥居社長らを乗せて移動を続けている『デリカD:5』のドライバー、田口勝彦(ラリーアート)は、無事たどり着いたネマのビバークで次のように語っている。
「1500kmのサービスルートを2日で走ってきました。
ずっと舗装路だったので2WDモードで走りましたが、途中に点在する町や村では安全のため最高速度が20km/hや50km/hに制限されていて、あまりペースアップできませんでした。もちろん『デリカD:5』は快調、ここまでまったくトラブルはありません。
それにしても、ラリーではついに『パジェロエボリューション』がトップに立ち、チームとしてもようやく報われたかんじです。
増岡選手も再び総合5位に浮上。
何度もトラブルに襲われながら、しっかり順位を上げてくる。
すごいタフな精神力ですね。
それでもチームは浮かれることなく、みんな冷静に仕事をこなしています。
プロフェッショナルの集団の凄みを感じました。僕も浮かれることなく、確実に『デリカD:5』をダカールまで導けるよう全力を尽くします」

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