PWRC:スバル アイルランドラリー第1レグニュース
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泥まみれの舗装路にドライバー陣も大苦戦
FIAプロダクションカー世界ラリー選手権(P-WRC)第7戦「ラリー・アイルランド」(FIA世界ラリー選手権=WRC第15戦併催)は、11月15-16日、レグ1が行われ、本格的な競技開始となった16日に設定されたステージではいずれも、走行ライン上が大量の泥が覆われるなど、厳しい幕開けとなった。
コンペティターはコーナーを深くカットしていくため道にグラベルが掃き出され、後続の走行者にとっては一層困難なコンディションとなっていった。
そしてこの日3本目のステージ・SS4ではWRカー勢のマーカス・グロンホルムがコースオフを喫したアクシデントで走行が中断、P-WRC勢には、同一タイムが与えられることになった。
午後に行われた同一ステージのリピート走行(SS7)でも同じアクシデントが発生し、P-WRCのアンドレアス・アイグナー(三菱)がコースオフでグループN首位から陥落、ここでもP-WRC勢には再び同一タイムが与えられた。
この日序盤でインプレッサ勢の先陣を切っていた北アイルランド出身のナイオール・マクシェアだったが、残念ながらタイヤチョイスに恵まれなかった。
反対に、この日P-WRC首位で終えた三菱のマーク・ヒギンズは、セーフティクルーの活用が効果につながった。
先週末にレバノンで開催された中東選手権(MERC)イベントで勝利を飾ったばかりのナッサー・アルアティヤーは、イベント前のテストに参加できなかったこともあり、午前中のループでは慎重なアプローチを見せた。
日中サービスの時点では、首位ヒギンズに34.7秒遅れの7位につけた。
午後のループでも堅実な走りを維持したカタールのアルアティヤーは、午後一番に6位浮上を果たし、最終的にこのレグを5位でフィニッシュした。
スウェーデンのパトリック・フロディンには不運が襲い、ターボへのオイル供給トラブルでブーストがかからず、現実的なタイムをマークすることができなかった。
日中サービスでこのトラブルは改善されたが、午後のグループではタイヤチョイスを誤り、レグ1で活躍を見せることはできなかった。
この日最後の3ステージでは、マシンを維持して走り切ることを目指しての安全ペースに切り替えたフロディンは、2週間後のラリー・GBでの雪辱を狙う。
レチェック・クザイは、午前中はマイペース走行ではありながらも順調に走行。
しかしSS6でのミスにより転倒、スーパーラリーでの再スタートを目指す。
ドライバーコメント:
ナイオール・マクシェア:
「とてもトリッキー。
みんな、コーナーをかなりカットしすぎる。
このアイルランドの道は完璧にOKだが、コーナーをカットすると穴が空くこともあるし、岩や石も出てくる。
カットをする必要はないのにしていくので、クリーンなラインが一つしかないので同じカットをしていかなくてはならなくなる。
残念なことだが、道がどこも荒れてしまったので今となっては仕方がない。
タイヤチョイスはここではとても重要で、パンクを避けることを一番に考えなくてはならない。
パンクの如何でラリーの順位が決まる」
ナッサー・サレ・アルアティヤー:
「道には泥が多く、これまで見たことがないような感じだ。
いいリズムをつかむこともあるが、少しずつタイムアップを目指している。
僕たちの目標は、いいレースを展開してここの道を学ぶこと。本当に難しいステージだからね。
絶対にフィニッシュしなくてはならないので、速さを維持しながら慎重にドライブしていく」
パトリック・フロディン:
「道があまりにナローで、本当に信じられない。
僕のターボも壊れていたこともあるしね。
トラブルは修復したが、あまり満足していない。
こういったコンディションは好きではないし、舗装も得意ではないので、本当に難しい。
できる限り速く走れるように努力しなくてはならないし、どこまでできるか見ていくしかない」
レチェック・クザイ:
「ステージは本当に難しいコンディションだ。
泥が多く、とてもスリッパリーなところもある。
この午前はタイヤチョイスを誤り、固すぎるタイヤを選んでしまったのでなかなか温まらず、とてもスリッパリーだった。
序盤はノロノロ走行になってしまい、2回目の走行でペースを上げた後に転倒してしまった。
本当に残念だが、明日はスーパーラリーで再スタートする」
STIグループNプロジェクト・ジェネラルマネージャー、ジョージ・ドナルドソン
「今日は、我々が期待していたような展開にはならなかったが、ナイオール・マクシェアが4位につけて白熱の争いに挑んでおり、首位からもそれほど離れていない。
そしてナッサー・サレ・アルアティヤーも5位に続いている。
ナイオールは今日、2回ほどパンクをして遅れ、タイヤチョイスも全く当たらなかった。
それでもナイオールはハードにアタックをかけており、あきらめずに、この状況の中でのベストを目指していく。
彼にはまだ、上位に迫れるチャンスがあると期待している。
レチェック・クザイもハードなプッシュを見せ、一時2位につけた。
ヒギンズ、アイグナーとも争っていたが、小さなミスで転倒してしまった。
しかしマシンは修復されているので、明日はスーパーラリーで再スタートする。
パトリック・フロディンにとっても、忘れられない日となり、ターボが破損した後はタイヤチョイスを誤り、2週間後のラリー・GBに備えてマシンを維持するために堅実なペースでこの日を終えた。
テストではとても順調に走行を行っていたので、彼の努力が報われることを期待している。
ナッサー・サレ・アルアティヤーは、今日とても順調だった。
プレイベントテストには参加できなかったが、それでも地元のWRカー勢を凌いだ。
注目に値する走りを見せており、グループN首位にも1分ほどの差しかない。
明日もトリッキーなコンディションになることは間違いなく、厳しい1日となると思うが、今後の展開は見守る価値充分だ」
明日のステージ走行距離は、レグ1よりも50kmほど短い118.36km。
雨が予報されているため、レグ1よりもチャレンジングな1日となりそうだ。
Pos Driver Car Name Time Diff
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1 マーク・ヒギンズ Mitsubishi Lancer Evo 1:41:58.9 0.0
2 アルミンド・アラウージョ Mitsubishi Lancer Evo 1:42:54.6 +55.7
3 ガブリエル・ポッゾ Mitsubishi Lancer Evo 1:43:06.4 +1:07.5
4 ナイオール・マクシェア SUBARU IMPREZA WRX STI 1:43:18.2 +1:19.3
5 ナッサー・アルアティヤー SUBARU IMPREZA WRX STI 1:44:44.5 +2:45.6
6 シモーネ・カンペデリ Mitsubishi Lancer Evo 1:45:49.6 +3:50.7
7 スチュアート・M.ジョーンズ Mitsubishi Lancer Evo 1:46:04.3 +4:05.4
8 ステファン・フォズテク Mitsubishi Lancer Evo 1:46:48.0 +4:49.1
9 フィリップ・モロー Mitsubishi Lancer Evo 1:46:59.1 +5:00.2
10 奴田原 文雄 Mitsubishi Lancer Evo 1:47:09.2 +5:10.3
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