WRC:スバル アイルランドラリー事前ニュース
PREVIEW
未知との遭遇。初のアイルランドに3台のSUBARUが体当たり
10月末に日本での遠征イベントを終えたSUBARUワールドラリーチーム(SWRT)が11月に待ち受けるのは、チーム本部の本拠地・英国にほど近い、ラリー・アイルランド。2007年FIA世界ラリー選手権(WRC)のラスト2戦目となる。
WRCカレンダーに新たに加えられた、今年WRCイベントとしての初開催を迎えるイベントだ。
ラリーHQとサービスパークが置かれるスライゴは、人口わずか1万8000人という西海岸の小さな街。イベントのオープニングとなるスーパーSSが行われる、ストーモント城のあるベルファストからは、わずか200kmほど。
今年最後の舗装ラリーとなるこのイベントのステージは極めてバンピーで、他の舗装ラリーとはかなり異なるため、その挑戦も特徴的なものとなる。
アイルランドでは中古のWRカーが多く使われており、今回も36台以上のWRカーがエントリーリストに名を連ねる。
その中にあってSUBARU勢はこれまで数々の活躍を見せており、今年はアイリッシュターマック選手権を制しているほか、総合リザルトでもトップ4につけている。
WRCイベントが開催されるとあって、何千人ものスペクテイターが観戦に訪れるものと見られている。
11月の気候はご想像通り変わりやすく、常に降雨の可能性がつきまとう。
路面はとにかくバンピーでアスファルトとグラベルが混ざるため、マシンのセッティングは他の舗装ラリーとは全く異なる。
コンディションが刻々と変わるためタイヤチョイスも重要となり、ルートが非常にナローで高速であるためにミスも起こりやすい。
日没時間は16時30分頃ではあるが、WRカーのトップ勢が日没後にスタートするのはベルファストのショートスペクテイターステージのみ。
今年のルートは、昨年開催された試験イベントで設定されたワインディングなステージのエリアと似ているが、実際のステージはこれまでラリーで使われたことがない。
地域も含め全く新しいステージとなるのは、木曜日夜のラリースタートとして行われるベルファスト・ストーモントでのスーパーSS。
金曜日にスライゴからスタートするレグ1の第2セクションは、このラリーで最もトリッキーなルートとなる。
リエゾン総走行距離はわずか853.19km(SS1が行われるベルファストまでの移動は除く)と短いが、イベントのルートは北アイルランド、アイルランド共和国合わせて8地域に渡って設定され、アルスター(アイルランド島北東にある北アイルランドの州の名前)とアイルランド共和国の国境を越える非常に異色なイベントとなる。
クリス・アトキンソンは昨年のラリー・アイルランドに参戦しているため、コンディションの見当をつけることができるが、ペター・ソルベルグとチェビー・ポンスはアイルランドでの舗装経験はない。
エントリー
この2007年WRCの第15戦には、3台のSUBARUインプレッサWRC2007がエントリーする。
ペター・ソルベルグ/フィル・ミルズ組はカーNo.7、クリス・アトキンソン/ステファン・プレボ組はカーNo.8、チェビー・ポンス/チェビー・アミーゴのスペインコンビはカーNo.14となる。
ドライバー・コメント
ペター・ソルベルグ
「アイルランドでラリーに参戦したことはこれまでにないので、僕にとっては未知のイベントだが、とても楽しみにしている。
アイルランドのファンはとてもラリー熱が高いので、いい環境だ。
心からラリーを愛している人々の前でドライブするのは、いつでもいいものだ。
この路面の感触をつかむためにシーズン序盤に何戦か参戦できればよかったのだが、それでも我々は充分な準備を行っており110%集中している。
特に2007年のチャンピオンがここで決まる可能性もあり、非常に面白い展開になると思う」
クリス・アトキンソン
「ラリー・アイルランドは他と全く異なるイベントだが、路面がバンピーであるだけではない。
初開催のラウンドなので、準備も非常に難しい。
昨年はグループNマシンで参戦したが、WRカーではさらに速度域が上がるので状況は全く変わる。
スピードが上がれば、状況判断もさらに迅速に行わなくてはならないのでさらに難しくなるし、すべてが新しいというところも厄介な点だ。
路面は半分アスファルト、半分グラベルという感じなので、セッティングも工夫しなくてはならない。
2つの路面や雨の可能性が高いことに対応させるために、ウェット向けにマシンをセッティングしている。
舗装がウェットでスリッパリーにならず、舗装が全くのドライとなれば、タイムロスにつながるだろう」
チェビー・ポンス
「アイルランドには行ったことがないので、この週末も僕にとっては新しい体験となる。
そりゃハードでスリッパリーになるだろうから、ミスも起こりやすくなると思うが、できる限りハードにプッシュしていくよ。
ここでテストを行ったことがないから、どんなコンディションになるのか全く想像つかないが、他のラリーと同様に準備を行っているし、レッキ期間中にできる限り早くコンディションに慣れていく」
マシン&挑戦
SUBARUワールドラリーチーム・マネージングディレクター、リチャード・テイラー
「今年はアイルランドでテストを行う機会はなかったが、アイルランドの選手権で参戦し勝利を収めている数々のカスタマーマシンから知識を得ている。
他の舗装ラウンドとは全く異なる舗装コースとなるため大きな挑戦となることは分かっており、この参戦を楽しみにしている。
どのWRCラウンドよりもSUBARUのWRカーが集まると思うので、非常にエキサイトしている。
我がチームやその他のSUBARU勢が、ファンの皆様にいいパフォーマンスを見せることを期待している」
SUBARUワールドラリーチーム・オペレーションディレクター、ポール・ハワース
「ラリー・アイルランドは通常のアイルランド舗装イベントとは非常に異なり、特徴のあるルートが組まれている。
非常にナローで場所によっては一台分の車幅しかないところもある他、速度域がとても高く、特に序盤のセクションは高速。
メインロードからナローな裏道に入るジャンクションやスイッチバックも多い。
道は湿ることが多く、とてもコースオフしやすい。2つの要素が間違いなく重要になる。
タイヤチョイスと、コース上に居続けることだ。タイヤ温度を保つことがとても難しく、とてもナローなので走行ラインは1つしかない。
リアが茂みに接触したりすれば、マシンはそのままドリフトしてしまう。
とても過酷で、ハイペースになれば完走率はジャパンのように低くなることも予想している」
ラリーの合間
ソルベルグとアトキンソンは、量産車のSUBARUインプレッサWRX STIの記者発表会のため、日本に残った。
2人はそこから、11月初めにプレイベントテストを行うため英国に向かった。
フィル・ミルズ、ステファン・プレボ、ポンス、チェビー・アミーゴは、この間は自宅で過ごした。
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