トヨタ・チーム 第3日目リポート
Toyota Yaris WRC (C)Toyota Gazoo Racing
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2021年11月22日
トヨタ自動車株式会社
GAZOO Racing Company
WRC 第12戦ラリー・モンツァ デイ3
オジエ/イングラシア組が優勝で8回目のチャンピオンに輝く
チームはマニュファクチャラーズタイトルを獲得する*
11月21日(日)、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・モンツァの競技最終日が、イタリア北部、ロンバルディア州のモンツァ・サーキットで行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 1号車)が優勝。通算8回目となるドライバーおよびコ・ドライバーチャンピオンに輝きました。
エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合2位でフィニッシュし、ドライバー選手権2位を獲得。
カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車)は総合9位で完走し、チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得を支えました。
ラリー・モンツァの最終日デイ3は、モンツァ・サーキット内で3本のステージが行われ、その合計距離は39.53kmでした。
サーキットの上空には日中時々晴れ間も見えましたが、早朝は霧が立ち込め、その後は曇り空が続く肌寒い一日となりました。
デイ2終了時点で、総合2位のエバンスに0.5秒差を築いていたオジエは、オープニングのSS14「グランプリ2」で2番手タイムを記録も、エバンスも同タイムで差は変わらず。
続くSS15「セラグリオ1」でオジエは4番手タイムでしたが、エバンスはエンジンストールによって大幅にタイムを失い、オジエとの差は一気に7.6秒に広がってしまいました。
そして迎えた最終ステージのSS16「セラグリオ2」を5番手タイムで走り切ったオジエとイングラシアは、優勝で通算8回目のタイトルを獲得しました。
今シーズン、彼らはモンテカルロ、クロアチア、サルディニア(イタリア)、ケニア、そして今回のモンツァと5勝し、優勝回数を54勝に伸ばしました。
来季もオジエはチームの一員として何戦かに出場する予定ですが、イングラシアは今回のモンツァを最後にコ・ドライバーを引退するため、彼らが共に戦うラリーは今大会が最後となります。
エバンスは総合2位でフィニッシし、その結果ヤリスWRCは今シーズン5回目の1-2フィニッシュを達成。
ポルトガルとフィンランドで優勝したエバンス/マーティン組は、昨年に続きドライバーおよびコ・ドライバー選手権2位を獲得しました。
また、今回オジエとエバンスがマニュファクチャラーズポイントを加算したことにより、チームはマニュファクチャラーズタイトルを獲得。
トヨタにとっては通算5回目のマニュファクチャラーズタイトルとなり、WRC歴代3位の記録となります。
また、2017年にヤリスWRCでWRCに復帰してからは、2度目のタイトル獲得となります。
5シーズンに渡りWRCを戦ったヤリスWRCは通算26勝をあげ、2022年シーズンからはハイブリッドシステムを搭載する次世代のRally1カーが、新たにワークスカーの役割を担うことになります。
今回、チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得をバックアップする役目に徹したロバンペラは、任務を完璧にこなし総合9位でフィニッシュ。
今シーズンはエストニアで初優勝し、WRC史上最年少記録を更新。その後アクロポリス(ギリシア)でも勝ち、シーズン2勝を獲得しました。
なお、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元は、SS14で4番手タイム記録するも、続くSS15でバリアにヒットしサスペンションを破損。
しかし、15分間のサービスでメカニックによる修理を経て臨んだ最終のパワーステージ、SS16では2番手タイムをマーク。
総合7位でフィニッシュしました。
豊田 章男 (チームオーナー)
今シーズンは、どのラリーも貴元を含む4人のドライバー達の誰かが表彰台に立ってくれていました。
私も「誰かが勝ってくれるだろう…」という想いを持ちながらワクワクした気持ちで全戦を見守ることができていたと思います。
そして迎えた最終戦。
セブは8度目のチャンピオン。
エルフィンは初のチャンピオンを掛けて最後の最後まで全力で駆け抜け戦ってくれました。
いちファンとしても最高にエキサイティングな気持ちにさせてもらえました。
「こんなにもエキサイティングな走りを最高峰の道でヤリスが…」
われわれトヨタにとっては本当に夢のような話です。
そんな気持ちにさせてくれた2台のクルー達に心から“ありがとう”と伝えたいと思います。
そしてその戦いを制したセブ、ジュリアン、チャンピオンおめでとう!
今日も最後まで全力でエルフィンを迎え撃った君たちの走りに心から敬意を表します。
8度のチャンピオン獲得は本当に偉大な記録です。
その内2回がトヨタでのチャンピオンであることをわれわれも誇りに思います。
本当にありがとう!
われわれは同時にマニュファクチャラーズタイトルも獲得することができました。
「マニュファクチャラーズタイトルも絶対に獲る…」
「同時にセブとエルフィンにも心おきなく戦ってもらう…」
この2つを成し遂げようとチームは心をひとつに最終戦に臨んでくれていました。
自分が上位にいればチームタイトルは決まると分かっていたカッレの走りがまさにこのことを示していたと思います。
カッレ、ヨンネ、チームのためにありがとう。
このような采配でチームが笑顔になれたのはヤリ-マティがいたおかげです。
ドライバー出身のヤリ-マティは“ドライバーファースト”の想いに溢れたリーダーでした。
チームの判断の全てがドライバー視点でなされていたからこそドライバーみんなが笑顔でシーズンエンドを迎えているように思います。
同時に、ヤリ-マティは“負け嫌い”です。
きっと私と同じくらいかもしかしたら私以上かもしれません。
要所要所で見せてくれた“負け嫌いな采配”がこのチームを強くしてくれたと思います。
ヤリ-マティが私を驚かせてくれたことはもうひとつありました。
メンバーとの丁寧なコミュニケーションです。
早朝のサービスパークでメンバーひとりひとりに“おはよう”を言ってまわるヤリ-マティを映像で見せてもらいました。
そんなヤリ-マティがいたからフィンランド、エストニア、ドイツ、日本にまたがる総勢200名のメンバーの心がひとつになったと思います。
目指していた“ドライバーファーストのチーム” “家庭的かつプロフェッショナルなチーム”を実現してくれて本当にありがとう。
そして、このチームは2017年からヤリスWRCを強くし続けてくれました。
2017年、最初のラリーの時に私がみんなにお願いしたのは「シーズンの最後に走るヤリスが一番強いヤリスになるようにしよう」でした。
ヤリスWRCは5年間で59戦の道を走り、勝てなかったラリーからも、勝てたラリーからも多くのことを学びました。
チームは本当に最後のヤリスを最強にしてくれたと思います。
そのことにも改めて感謝します。
みんな、ありがとう!
来年からは新たなレギュレーションのクルマに変わります。
その開発も佳境を迎えているとのこと、今年もみんなはクリスマス休暇を返上して準備を進めることになってしまうと思います。
チームのみんなやご家族には苦労を掛けますが、引き続き、力を貸してもらえればと思います。
来シーズンもファンの皆さまにエキサイティングな気持ちになってくれるようなクルマを準備していきましょう!
そして、一戦一戦を走りきってもっともっと強いヤリスをみんなでつくっていきましょう!
ファンの皆さまもTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの新たなクルマ、新たな戦いを楽しみにしていただければと思います。
引き続き応援よろしくお願いいたします。!
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
マニュファクチャラーズタイトル、ドライバーズタイトル、コ・ドライバーズタイトルを全て同時に獲得するために、われわれは非常に努力してきました。
チームには本当に感謝しています。
われわれのチームには、素晴らしい人材と、WRCで最高のドライバー達が揃っていますし、皆を本当に誇りに思います。
セブとジュリアンが成し遂げたことは、信じられないくらい素晴らしいものです。
エルフィンとスコットも、素晴らしい走りで戦いを盛り上げてくれましたし、カッレとヨンネのサポートにも心から感謝したいと思います。
2018年に私はドライバーとしてマニュファクチャラーズタイトルを獲得しましたが、今回、チーム代表として再びそれを達成できたのは、特別な出来事です。
また、ヤリスWRCでこのWRカーの時代を終えることになり、今シーズン9勝できたことも素晴らしいと思います。
セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 1号車)
今の気持ちを表現するのはとても難しいことです。
いつもそうですが、チャンピオンシップを勝ちとるためには多くのことを捧げてハードにシーズンを戦う必要があり、へとへとになってしまいます。
しかし、私達は今日のような瞬間を経験するために戦っているのです。
チームのメンバー全員に感謝します。
彼らの存在なしに我々は何もできないですし、今日はチームの全員がワールドチャンピオンになったのですから、みんなで祝いましょう。
トヨタが成し遂げたことは非常に素晴らしいことですし、チームはタイトルを獲得するに相応しい、多大な努力を重ねてきました。
また、これでジュリアンとの旅が終わりになるのかと思うと、感慨もひとしおです。
これ以上の良い終わり方はなかったと思います。
この週末を迎えるにあたってはやるべきことがたくさんあり、戦いがまだ終わっていないことを理解していました。
エルフィンに勝つ必要こそありませんでしたが、リラックスすることはできず、順位を落とすわけにもいかなかったので、最終的に優勝できたのはパーフェクトな結末といえます。
エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
もちろん、複雑な心境です。
より良い結果を求めるのは自然なことなので。
ドライバーズタイトルの獲得が難しいことはわかっていましたが、何とか実現したかったですし、このラリーでは優勝を目指していました。
残念ながら願いは叶いませんでしたが、セブとジュリアンがタイトルを獲得したこと、そして一緒に素晴らしいキャリアを築いたことを祝福したいと思います。
チームのみんなには感謝しています。
彼らは一生懸命働き、素晴らしいクルマを提供してくれただけでなく、とても良い雰囲気で仕事をすることができました。
また、運転を楽しませてくれたヤリスWRCには、惜別の意を表したいと思います。
カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献することができて、とてもうれしく思います。
本当に良いシーズンだったと思いますし、自分達もいくつかのラリーでポイントを獲得することができたので、タイトルを勝ち取ることができて良かったです。
チームにとって素晴らしいことですし、自分もその一部になれたことを本当にうれしく思います。
この週末に課せられた仕事は決して簡単ではありませんでしたが、それをやり遂げたことが重要ですし、価値のあることだと思います。
チームは本当にに頑張ってきた
ので、おめでとうと言いたいですし、感謝しています。
素晴らしいクルマと共に戦った素敵な1年でしたし、チームの強さを証明することができたのではないかと思います。
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