トヨタ・チーム 第3日目リポート
Toyota Yaris Rally1 (C)Toyota Gazoo Racing
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2022年8月22日
トヨタ自動車株式会社
GAZOO Racing Company
WRC 第9戦 イープル・ラリー・ベルギー デイ3
最後まで攻めの走りを続けたエバンスが総合2位でフィニッシュ
ラッピは総合3位を、Next Generationの勝田は総合5位を獲得
8月21日(日)、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」の最終日デイ3が、ベルギー西部のイープルを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が総合2位で、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(4号車)が総合3位でフィニッシュ。
デイリタイアを経て、デイ2で再出走したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (69号車) は総合62位で完走し、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationから出場の勝田貴元は総合5位を獲得しました。
イープル・ラリー・ベルギーの最終日は、イープル市街地のサービスパークを中心に、2本のステージをサービスを挟んで各2回走行。
その合計距離は51.34kmと、3日間で最短の一日でした。
最終日の空は全体的に薄曇りで、ステージの路面コンディションはドライ。
イープル周辺の舗装された農道を中心に、最後まで激しい戦いが繰り広げられました。
デイ2で首位オィット・タナックと8.2秒差の総合2位に順位を上げたエバンスは、SS17、18とオープニングから2ステージ連続でベストタイムを記録。
タナックとの差を6.7秒に縮めました。
イープルでのサービスを挟んで行なわれた再走ステージのSS19では3番手タイムとなり、差はやや開きましたが、エバンスは最終のパワーステージでも攻めの走りを貫き、ベストタイムのロバンペラに続く2番手タイムを記録。
逆転には至りませんでしたが、5秒差の総合2位でフィニッシュし、パワーステージ2番手タイムによるボーナスの4ポイントも獲得しました。
前後の選手と既に大きな差がついていたラッピは、表彰台を確実に獲得するため、堅実な走りを続け総合3位でフィニッシュ。
今シーズン3回目の総合3位獲得により、チームに貴重なマニュファクチャラーズポイントをもたらしました。
また、パワーステージに照準を合わせて最終日に臨んだロバンペラは、石畳の非常に滑りやすい路面も含まれるこのラリーの名物「ケンメルベルク」のステージで、狙い通りベストタイムを記録。
初日のデイリタイアにより総合順位は下位に留まりましたが、パワーステージの優勝によってボーナスの5ポイントを獲得。
ドライバー選手権におけるリードは72ポイントとなりました。
なお、今大会で3人のドライバー達が獲得したポイントにより、チームはマニュファクチャラー選手権首位の座を維持し、88ポイントのリードを守りました。
デイ1でのトランスミッションのトラブルによる遅れにも関わらず、着実に順位を挽回してきた勝田は、デイ2よりもひとつ順位を上げ総合5位でフィニッシュ。
確実性の高い走りで難関イープルを走破しました。
なお、開幕戦ラリー・モンテカルロからイープルまで、全ラリーで総合10位以上のリザルトを残しているのは、勝田のみとなっています。
デイ2ではチームオーナーの豊田章男がドライブした、水素を燃料とするGR Yaris H2を、最終日は再びユハ・カンクネンがドライブ。
豊田は、コ・ドライバーとして助手席に乗り込み、パワーステージの開始直前に走行しました。
GR Yaris Rally1 HYBRIDと同じくピレリ・タイヤを装着するGR Yaris H2は、トリッキーな石畳の路面も含まれるケンメルベルクのステージを軽快に走り抜け、水素燃料車の可能性と魅力を3日連続でヨーロッパのラリーファンに伝えました。
また、走行終了後豊田は表彰式で選手たちを出迎え、彼らの健闘を讚えました。
豊田 章男 (チームオーナー)
まずは、メカニックたちに“ありがとう”を言わせてください。
私がチームと合流する前、カッレとヨンネが横転したニュースが飛び込んできました。
フィンランドの光景に似ていました。
しかし、ドライバーがゴーグルをかけてもクルマは動きそうにありません。
カッレの走りを見ることができないかと残念に思っていましたが、夜に「修理完了、明日お待ちしています」の連絡が入りました。
カッレとヨンネのために、必死でクルマを直してくれたメカたちに感謝します。
おかげで私も4台すべてを間近で応援することができました。
みんなありがとう。
そして、今回、FIA、WRCプロモーター、オーガナイザーなど多くの方々のご理解とご尽力により“水素の排気音”をWRCファンの皆様に聞いていただくことができました。
モータースポーツもスポーツです。
スポーツは五感が刺激されてこそ興奮が高まる…、私は、そう信じています。
だからこそエンジンの振動も排気音も残していきたい!
カーボンニュートラルを目指しながらも、その興奮を残していくことを、ここヨーロッパでも多くの皆さまと共感し合えたことに、とてもうれしくなりました。
皆さま、本当にありがとうございました。
本音を言えば、私もドライバー達と一緒にポディウムに立ちたかった…。
今回は少し離れたところから、エルフィン、スコット、エサペッカ、ヤンネに拍手を送りました。
今年はもう一度、そこに立つチャンスが私にはあると思っています。
今度は彼らと一緒にシャンパンでベトベトになりたいと思います。
チームのみんな、11月に日本でよろしくお願いします。
(その前の3戦も勝ちましょう!)
追伸 オイットへ
優勝おめでとう!
2019年12月に君に送った「また表彰台で会おう。僕が君にシャンパンをかけるから」というメッセージを覚えてくれていますか?
ベルギーでは叶いませんでした。
なんとしても日本で!
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
2台の選手達が表彰台に上がり、この週末を締めくくるのにふさわしい結果になりました。
われわれには速さがありましたし、昨年よりも競争力があり、クルマも好調でした。
た
だ、上手くいかなかったことが少しあっただけです。
エルフィンは優勝まであと一歩と迫り、いいラリーを戦いました。
今朝もとてもいい走りをしましたが、今日はステージが4本しかなかったので優勝には届きませんでした。
エサペッカの走りは、完璧でした。
それはまさに、この週末われわれが彼に求めていたものであり、マニュファクチャラー選手権争いにおいて大きく貢献してくれました。
また、カッレは金曜日に残念なことになってしまいましたが、その後も強い気持ちを持ち続け、パワーステージの優勝によりチャンピオンシップでも依然有利な位置を保ちました。
最後に、今回、章男社長がユハ・カンクネンと共に水素燃料のクルマでステージを走行したことは、本当に素晴らしいことでした。
彼がいかにモータースポーツを愛しているかが伝わったと思いますし、彼のサポートに本当に感謝しています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
総合2位という結果に満足することはできませんが、全体的には好調な週末でした。
いくつかの不運な出来事でタイムを少しずつ失ってしまいましたが、それもラリーという競技の一部なのです。
クルマの調子は良く、序盤から上位争いができたのは良かったです。最終日に向けてはいいセットアップを施すことができ、最後に納得のいく走りがで
きるようになりました。
今日は、オィットにプレッシャーをかけ続けました。
残りの距離が限られていたこともあって簡単には行かないだろうと思いつつもタイム差を縮めることができましたが、やはり少し足りませんでした。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
もちろん、ベストな週末ではありませんでした。
それでも、今シーズンはここまで好調でしたし、時にはミスもするものです。
金曜日のクラッシュの後、チームとしてできることは全てやれたと思いますし、クルマを修理してくれたメカニック達に感謝するという意味でも、それは重要なことでした。
パワーステージでは、その直前までかなりマージンを持って走っていたのでペースを上げるのは簡単ではありませんでしたが、最大となる5ポイントを獲得し、ドライバー選手権でそれほど大きく差が縮まらなかったのは良かったです。
次のギリシャからまた、いい結果を出していくだけです。
エサペッカ・ラッピ (GR YARIS Rally1 HYBRID 4号車)
この週末の仕事にはとても満足しています。
今回のラリーでの3位は自分たちにとっては非常にいい結果ですし、チームにとってもそれは同様です。
このラリーへの出場は8年ぶりだったので、スタート前にこのような結果を期待していたわけではありません。
自分達は最速ではありませんでしたが、他の多くのドライバーのように大きなミスをしなかったことが、最終的にいい結果に繋がりました。
今日のような最終日にいい順位につけていて、絶対に完走したいと思っている時は、実はけっこう厄介なのですが、今日は何とか乗りきることができました。
次回のイベント情報
WRC次戦は、9月8日(金)から11日(日)にかけて、ギリシャで開催される第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」です。
昨年、8年ぶりにWRCのカレンダーに復帰したこのイベントは、1951年に初開催され、WRC初年度の1973年からシリーズに組み込まれた伝統的なグラベル(未舗装路)ラリーです。
大きな石が転がる山岳ステージの路面は所々荒れており、また通常気温もかなり高いため、クルマにもタイヤにも選手にも厳しいラリーとして知られています。
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