トヨタ・チーム ポルトガルラリー第1日目リポート
2023年5月13日
トヨタ自動車株式会社
GAZOO Racing Company
WRC 第5戦 ラリー・ポルトガル デイ1
大波乱のポルトガル初日
ロバンペラが首位に立つ
5月12日(金)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」の競技初日デイ1が、ポルトガル北部の古都コインブラを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が首位に立ちました。
なお、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)はコースオフにより、今シーズン2回目のワークス登録出場となった勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)はメカニカルトラブルにより、それぞれデイリタイアを喫しました。
今シーズン、ヨーロッパ大陸で行われる最初のグラベル(未舗装路)イベントとなるラリー・ポルトガルは、11日(木)の夜に古都コインブラでのセレモニアルスタートで開幕。
12日(金)の朝からコインブラ周辺の山岳地帯で競技がスタートしました。
デイ1の主舞台は、コインブラの東側に位置するアルガニル地域。
3本の山岳ステージを各2回走行し、その後2本のステージを走った後、マトジニョスの最終サービスパークを目指すという長い一日となり、8本のステージの合計距離は121.25kmでした。
デイ1は早朝のサービスも、昼間のミッドデイサービスも設定されず、アルガニルに設けられた「タイヤフィッティングゾーン」での簡便な整備作業およびタイヤ交換だけで一日を走りきらなくてはならず、選手達にとってはミスの許されない困難な競技初日となりました。
デイ1は朝から好天に恵まれ、気温は日中25度前後まで上昇。
ステージはドライコンディションでの戦いとなったため、前戦クロアチア・ラリーでの優勝によりドライバー選手権首位に立ち、出走順1番手を担うことになったエバンス、そして選手権2位で出走順2番手のロバンペラにとっては困難な一日となりました。
それでもロバンペラはSS1、2で4番手タイムと健闘。
SS3ではベストタイムを記録し、総合2位に順位を上げました。
さらに、ロバンペラは午後のSS5でもベストタイムを刻み、ついに首位浮上。
SS6で3本目のベストタイムをマークしたロバンペラは、デイ1最終のSS8まで首位を守り続け、総合2位のダニ・ソルドに10.8秒差を築いて一日を終えました。
一方、2021年にこのラリーで優勝しているエバンスは、出走順一番手という誰よりも不利な条件でステージを切り開くことになり、苦しい戦いを強いられました。
それでも午前中のSS3では3番手タイムを記録するなど奮闘し、その時点で首位と18秒差の総合5位につけていました。
ところが、エバンスは午後のSS7でコースオフ。
エバンスにもマーティンにも怪我はありませんでしたが、残念ながら彼らはデイリタイアに。チームはサービスパークにクルマが戻ってきた時点で検査を実施する予定です。
TGR-WRTからのワークス出場は第2戦ラリー・スウェーデン以来2回目となる勝田は、SS1で5番手タイム、SS2で3番手タイムを記録するなどいいスタートを切り、ロバンペラと同タイムで総合4位に並びました。
しかし、続くSS3へと向かう途中でオルタネータに問題が発生し走行不可能に。
勝田は残念ながらデイリタイアを選択しましたが、明日のデイ2で再び競技に復活する予定です。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
我々にとっては非常に複雑な心境の一日でしたが、カッレが示してくれたパフォーマンスはとてもポジティブなものでした。
彼の勝利へのモチベーションが非常に高いことが伝わってきました。
午前中はクルマに満足しきれていなかったようですが、セットアップを微調整することで自信を持ち、その後は最後まで快調でした。
エルフィンについては、今日は出走順トップということで、厳しい戦いになることは分かっていました。
それでも午前中はいい位置につけていたのですが、午後になって路面が荒れたり轍ができたりするなどコンディションが悪化し、残念ながら最後から2番目のステージで大きなアクシデントに見舞われてしまいました。
しかし、何よりも重要なのは彼とスコットが無事だったということです。
また、貴元は素晴らしいスタートをきっていただけに、午前中で止まってしまったことも残念でなりません。
それでも、ポジティブに考えて明日に備えたいと思います。
明日のステージはそれほど荒れてはいないと思いますが、タイヤをうまくマネージして走らなくてはなりません。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
本当にいい一日でした。
午前中はパーフェクトではなかったですが、ハイスピードな道でハンドリングの精度を高めようと自分たちでクルマに調整を施したところ、フィーリングがとても良くなり、午後は思うように走れました。
ステージは予想以上に荒れていたと思います。
ラリーが始まるまでの間に、路面は明らかに乾ききっていたので、多くの石が転がっていたり、荒れているところも多くありました。
しかし、自分たちはそれにうまく対応し、クレバーなドライビングをすることができたと思います。
出走順2番手からスタートしてトップに立ち、優勝争いに加わっているというのは素晴らしいことです。
明日は出走順がさらに良くなるはずなので、この調子が続くことを期待しています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
今朝はクルマのフィーリングが良く、ドライビングを楽しむことができていました。
SS1の最後から問題が起きていて、それに対処しなくてはなりませんでしたが、クルマのセットアップとバランスにはとても満足してましたし、全くプッシュしていなかったにも関わらずいいタイムが出ていました。
できる限りそのまま行きたかったのですが、3本目のステージに向かう途中で全てがシャットダウンしてしまい、再スタートすることもできず、そこで一日を終えることになりました。
とても残念ですが、残り2日間、この素晴らしいステージを走るチャンスはまだあります。
明日、出走順トップで走るのは大変ですが、楽しみながら、将来のために何かを学びたいと思います。
明日のステージ情報
競技2日目となる5月13日(土)のデイ2は、ポルト北東に広がるカブレイラ山脈を中心に、3本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行。
そのうち、SS10/13「アマランテ」は、昨年に続き大会最長となる全長37.24kmのロングステージです。
そして、一日の最後にはロウサダのラリークロス・サーキットで名物のスーパーSSが行われます。
7本のステージの合計距離は今大会最長の148.68km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は667.88kmとなります。
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