トヨタ・チーム フィンランドラリー第4日目リポート
2023年8月7日
トヨタ自動車株式会社
GAZOO Racing Company
WRC 第9戦 ラリー・フィンランド デイ4
エバンスが2年ぶり2回目のラリー・フィンランド優勝を飾る
勝田は激戦を制し今季最上位の総合3位を獲得
8月6日(日)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の最
終日デイ4がユバスキュラのサービスパークを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing Wor
ld Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HY
BRID 33号車)が優勝。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合3位を、
スポット出場のヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組(97号車)が総合5位を獲得
しました。
ラリー・フィンランドの最終日は、前日と同様サービスパークの南西エリアが戦いの舞
台となり、「モクシ-サーロイネン」と「ヒモス-ヤムサ」という2本のステージを、ミ
ッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。4本のステージの合計距離は51.64kmでし
た。最終日は早朝から雲間に青空が見えるなど、久々に降雨のない爽やかな一日に。気
温も23度前後まで上昇しました。それでも、依然湿り気を帯びた路面も多く残り、最後
まで気の抜けないコンディションでの戦いとなりました。
前日のデイ2で、総合2位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)に対する差を32.1秒まで
拡げた首位エバンスは、最終日も好調を維持。オープニングステージのSS20を制し、差
を33.7秒に拡げました。続くSS21では、総合3位につける勝田が今大会3回目となるベス
トタイムを記録。表彰台を争う総合4位テーム・スニネンとの差を7.2秒に拡げて1ルー
プ目を終えました。2ループ目の1本目、SS21ではエバンスがベストタイムでヌービルと
の差は38.2秒に。一方、勝田は3番手タイムのスニネンと0.9秒差の4番手タイムで、差
は6.3秒と僅かに縮まりました。そして、今大会最後の勝負の場となったパワーステー
ジのSS22「ヒモス-ヤムサ2」では、エバンスが今大会10回目のベストタイムでパーフェ
クトウィン。エバンスにとっては第4戦クロアチア・ラリー以来となる今シーズン2勝目
、キャリア7回目の優勝でした。また、ラリー・フィンランドでの優勝は、2021年大会
以来2回目となります。エバンスはパワーステージを制したことで5ポイントのボーナス
を加算し、ドライバー選手権では2位と順位は変わらずも、前日リタイアした選手権首
位のロバンペラとの差を、25ポイントに縮めました。
一方、勝田は最終のパワーステージで3番手タイムのスニネンと1.9秒差の4番手タイム
を記録。4.3秒でリードを守り、総合3位を獲得しました。勝田の表彰台フィニッシュは
、昨年の最終戦ラリー・ジャパン以来となります。なお、チームはエバンスと勝田が獲
得したポイントにより、マニュファクチャラー選手権におけるリードを67ポイントに拡
げました。また、2019年以来のラリー・フィンランド出場となったラトバラは、最終日
も大勢のファンの声援を受けながら安定した走りを続け、総合5位でラリーを終えまし
た。
豊田 章男 (TGR-WRTチーム代表代行として)
ラリー・フィンランドではチーム代表代行として4つの仕事をさせてもらいました。1つ
目は“チームに声をかけてまわる”こと。かけた言葉は朝の「おはよう」と
3つの合言葉…「One team」「Never give up」「We hate to lose」。そして、
今回教えてもらったフィンランドの言葉「SISU」だけです。たまにしか会えない私でも
、これらの言葉があれば心が通じ合えるのが我々のチームです。コースオフして戻って
きたカッレに「Never give up !」と声をかければ「Yeah ! We hate to lose !」と返
してくれます。リタイアが決まったカッレは、そのあと貴元に色々なアドバイスをして
くれていました。まさに「One team」です。こんな素敵なチームを築いてくれているヤ
リ-マティに改めて感謝します。Amazing Weekをありがとう!
2つ目の仕事はSSでドライバーたちを“見守る”こと。私が見守っていると
感じた貴元は、気合いを入れてステージトップタイムをマークしてくれました。タイム
への貢献に繋がったようでよかったです。おかげで念願だった「貴元と一緒に表彰台」
も叶えることができました。貴元、表彰台おめでとう!
3つ目の仕事はチーム代表としてインタビューに答えること。SSやサービスで数々のイ
ンタビューに応じました。トミ(マキネン)やヤリ-マティは我々トヨタのために、い
つもこんな大変な仕事をしてくれていたんだと改めて感謝しました。
最後の4つ目は“表彰台に立つ”という仕事です。体中がベタベタになって
しまう一番“やりたくない仕事”でしたが、本当に嬉しい経験でした。こん
な素敵な経験をさせてくれたエルフィンとスコットに心から感謝します。表彰台でも言
ったけどもう一度…
エルフィン、スコット本当におめでとう! 表彰台に連れていってくれてありがとう!
ベタベタになるのはイヤですが、“ぜひもう一度”、“できることな
ら日本で”このAmazingな仕事をやらせてもらえれば嬉しいです。今回、カッレと
ヨンネには走り切らせてあげられず申し訳なかったけど、次は君たちともベタベタにな
れればと思っています。今回、代表代行の仕事をさせてもらい、チームメンバーそれぞ
れが本当に大変な仕事をやってくれていることを実感し、みんなに感謝しました。
残り4戦は再びヤリ-マティがチーム代表を担っていきます。引き続き「One team」「Ne
ver give up」「We hate to lose」そして「SISU」を合言葉にチームメンバー全員で戦
っていきましょう! みんな、よろしく頼みます!
豊田 章男 (TGR-WRT会長として)
我々が目指すのはドライバーファーストのチームです。しかし、チーム代表のヤリ-マ
ティが知っているクルマは今までヤリスWRCだけでした。ドライバーたちが乗っているG
R YARIS Rally1 HYBRIDには乗っていません。チャンスがあればGR YARIS Rally1 HYBRI
Dをヤリ-マティにドライブしてもらいたいとずっと考えていました。やっとそれが叶い
、ヤリ-マティはドライバー仲間のユホと共に全てのステージを走り切ってくれました
。彼らはずっと笑顔で走っているように見えました。しかし、きっとそうじゃない瞬間
もあったはずです。ドライバーがずっと笑顔で気持ちよく走れるクルマを、これからも
ヤリ-マティ達と一緒につくっていきたいと思います。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
我々にとって素晴らしい週末になり、このラリーで2回目の優勝を飾ることができたの
で特別な気分です。フィンランドは大好きなラリーのひとつですし、ユバスキュラにフ
ァクトリーを構えるチームにとってはホームラリーでもあります。また、この週末に章
男さんと一緒に優勝し、彼や貴元と一緒に表彰台に立てたのも特別なことです。この道
でこのクルマを走らせるのは素晴らしい経験で、運転を楽しむことができましたし、ラ
リー序盤からとてもいいフィーリングで走ることができました。金曜日にカッレが戦列
を去ったのは残念でしたが、土曜日に向けて少しずつセットアップを進めることができ
、それが大きな自信に繋がりました。全てのことが上手く行き、ステージのタイムも自
然に上がって行きました。チャンピオンシップの面でもポジティブな週末になり、カッ
レとのポイント差を以前よりも少し縮めることができました。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
自分にとって第二のホームイベントである、ラリー・フィンランドで表彰台に立つこと
ができて本当に嬉しいです。自分にとっても、チームにとっても、そして章男さんにと
っても大きな意味を持つことです。章男さんは僕に大きなエネルギーとモチベーション
を与えてくれて、それがテーム(スニネン)との激しいバトルを続ける中で助けになり
ました。テームは本当にいい仕事をしていたので、決して簡単ではありませんでしたが
、コンディションがトリッキーだった土曜日の最後にギャップを築くことができたので
、最終日のストレスは少し軽減されました。ラリー・エストニアの後、チームのエンジ
ニアたちと一緒に、どこを改善すればいいかを一生懸命分析し、その結果、金曜日の朝
からいいパフォーマンスを発揮することができました。また、テストの時にフィンラン
ドの道を上手く走るためのアドバイスをくれた、カッレにも感謝しなければなりません。
ヤリ-マティ・ラトバラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 97号車)
このクルマで走るのは本当に楽しく、週末は驚きと喜びの連続でした。このような素晴
らしいチャンスを与えてくれた章男さんとチームに感謝します。一生忘れられない、本
当に驚異的な体験でした。結果を考えることなく、リラックスしてドライブすることな
んて、なかなかできないことです。難しいコンディションの中でも自分たちのリズムで
走ることができましたし、最終的に総合5位を獲得し、パワーステージでポイントを獲
得できたのは素晴らしいことです。また、エルフィンが表彰台の頂点に立ち、貴元が総
合3位に入ったのも特別なことですし、本当に嬉しく思います。
次回のイベント情報
WRC次戦は、9月7日(木)から10日(日)にかけて、ギリシャで開催される第10戦「ア
クロポリス・ラリー・ギリシャ」です。2021年にWRCのシリーズに復帰したこのイベン
トは、1951年に初めて開催され、WRC初年度の1973年からシリーズの一戦に組み込まれ
た伝統的なグラベル(未舗装路)ラリーです。路面はここ2戦のスムースでフラットな
グラベルから一変。大きな石が転がる山岳ステージはかなり路面が荒れているところも
多く、通常は気温もかなり高いため、クルマにもタイヤにも選手にも厳しい「ラフグラ
ベル・ラリー」として知られています。
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